最後の贈り物【短編】
「へー、そういえば健ちゃん体育大好きだもんね」

「まあな。それより、三人しかいない学校に何でこんなにボールあるか知ってるか?」

健一はボールを回し続けながら二人の顔を見比べる。

二人ともしばらく考える素振りを見せたが先に根を上げたのは鈴だった。

「うーん、わかんないよー。何でなの?」

「千絵ちゃんがさ」

健一はボールを回すのをやめ、両手でしっかりとボールを抱えるとそれをじっと見つめた。

「千絵ちゃんがさ、オレがバスケ好きなのを知って色んなところから集めてきてくれたんだよ」

そういって、健一は持っていたボールを鈴に軽く投げて渡す。

小さい両手を広げて何とか受け取ったそのボールを鈴は見つめる。
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