最後の贈り物【短編】
「なるほどなー、コレのことか」

そう言いながら、健一が石膏像からハンカチを取りだすと二人の前にそれを掲げて見せた。

そのハンカチの暗号には朱色が使われている。

「んとー、『白く小さきものたちがねむる中。そのたからは」えーと……」

一生懸命にその文字を読む鈴に卓也が助け舟を出す。

「『守られる』だよ、鈴ちゃん」

「そっかー、『まもられる』か。ありがと、たっくん」

「いいえ、どういたしまして」

にこやかな二人のやり取りに一人顔を顰めているのは健一だった。

「でもよー、こんなんでわかるのかー?」

「大丈夫だよ、ね。鈴ちゃん」

健一と卓也の期待のこもった目に見つめられて鈴は小さな腕を組んでじっと考え込んでしまった。

しばしの黙考。

パッと顔を輝かせた鈴がにっこりと笑う。

「わかったよ!」
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