【完】素直になれよ。






織川はすぐ私に近寄って「......どうした?」と声をかけた。



なんでこう...織川って

こんなタイミングよく......私の前に現れるの?




「なんでもない...。」


私は首を捻って顔をそむけた。

見られたくない...こんな泣き顔...。




「なんもなくねーだろ」

そしてやっぱり
私を強引に振り向かせようとする。



「...うる、さいなぁ...」



本当は

本当は...嬉しかったんだよ。


偶然でも、こうやって私の前に来てくれて。



だけど...私は......素直になれない。


意地っ張りで強がりで...可愛くないでしょ?





そう思っていた矢先。



私は肩を掴まれて
くるっと反転させられる。


息をつく間もないまま、私は織川の腕の中にすっぽりと収まったんだ。





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