【完】麗しの姫君


「あんた、なんでそんな気に入られてるの」


「…知らない」


「いいじゃんいいじゃんー、姫の初恋かー」


「!んなっ!初恋⁈」


「そうでしょ」


「ねー」


「まぁ、今ではお伽話の王子様に恋してたものねー」


「本当の恋?現実的な恋?を知るいい機会だよね。恵斗お姉さんは嬉しいよ」


「……これが、初恋?」


そうなの?本当に?


私、香坂先輩のこと、好きなのか。


「手でも触ってみたら?」


「は?」


「おー、瀬菜ちゃん大胆だねー」


「よく言うじゃない、手と手とが触れた瞬間ビビビってやつ」


「あー、なるほどね」


「頑張れ、姫」


「頑張って」


「…え?嫌だし」


「「なんで?」」


「なんでもなにもないし」


「女は度胸でしょーが」


「そうだよ姫ー」


そんな度胸いらないし。


「……行かないもん」


なんかよくわからないけど、…怖いから。


…会いたくない。

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