【完】麗しの姫君


「……楽しそうだね」


「……へ?」


今、なんと?てか、誰?


恵斗と2人、ネジを巻かれたロボットのように、教室の扉の方へと恐る恐る振り向いた。


「!」


「わぁおー」


なんでここにいるのー!


「…眼鏡先輩、か。それって誰のこと?」


いやいやいや、気付いていらっしゃるでしょうに。


「………」


「姫?」


「………」


「ね、姫、連れて行くよ?」


「「は、はい」」


んなーー!!


うん、気持ちはわかるけどさ、そこは抵抗感してよねー!


「行くよ」


「!っわ、」


強く握られた、手首。


ちょっと痛いよ、先輩。


廊下を歩くスピードも早くて、足がもつれてしまう。


「…せん、ぱ、待って…」


言ってしまえば、私病み上がりなんですけどね⁈


えぇ、知りませんよねそんなこと。


…心なしか、先輩の背中が怒ってる。


…なに、言われるんだろう。


迷惑、って?勘違いするなって?


…すごく、怖い。

< 43 / 59 >

この作品をシェア

pagetop