恋
それから半年。彼との付き合いは凄くスローペースだ。
デートは月に2、3回。初めてのキスは付き合って3ヶ月目。
そのゆったりした速度にあわせて、私も徐々に彼への気持ちを深めているのだと思う。今はまだ決心がつかないけど、いつかはキス以上のことも許せるようになると思う。
ほんの短時間の外移動を終え、図書館の中に逃げ込む。
「寒かったね」
「はは、芽衣子の鼻真っ赤だ」
「浩介くんだって」
まるで歌に出てくるトナカイみたいだと笑いながら、私たちは奥の空いている席を陣取った。
カバンを席取り用において、「資料本とってくるね」と声をかけると彼も頷く。
専門教科が違うので、必要な本がおいてある書架はバラバラだ。
私が探しているのは古文の解説書で、それがあるはずの奥の書架に向かって歩いていくと、人影が見えた。
スラリと長い体を片側の棚に預けている短髪の男の子。
見覚えのある人物に私は思わず呟いた。