「夏木が、どうして芽衣子を名前で呼ぶんだよ。どうして芽衣子は夏木をあんなまなざしで見つめるんだよ。俺になんか見向きもしないで」

「夏木くんは、私に何もしてない。浩介くんが大事だから、裏切るようなことはしなくないってそう言ってた」

「実際裏切ってるじゃないか!」


いきり立った顔で彼が立ち上がる。

いつも優しい浩介くんの険しい顔。

私は圧倒されたように後ずさりする。
それが彼を傷つけると分かっていても、止められないくらい彼が怖かった。


「……っ、でも」

「もういいよ。別れよう」


私の怯えを見てとったかのように、彼はふっと視線をそらして呟いた。


「こうすけ……くん」

「他に好きな男が出来た……んだろ? もういい。親友と密会するような女なんてこっちから願い下げだ」


浩介くんはこっちを見ない。私が一歩近づいてもそれは変わらなかった。


「……帰れ!」


大きな声に周囲がどよめく。
私たちのいい争いを見ていた周囲の人たちは気まずそうに顔を見合わせた。

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