恋
自分が先に傷つけたのに、私は彼の言葉に傷ついていた。
ボロボロと涙があふれ出して止まらない。
でももうそれを、浩介くんは見てはくれない。
「わか、……た。別れる」
「ん」
「さ、よなら」
「……」
別れの言葉に、返事はもらえなかった。
私は踵を返して走り出す。
涙が止まらなくて苦しい。
こうして浩介くんから逃げ出してみても、今は行くところが無い。
私は夏木くんの電話番号も住所も知らない。
どれほど彼に会いたくても、彼の居る場所が分からない。
救急車が向かいそうな病院……と思っても、車でいける範囲なら総合病院はいくつかあるだろう。
しらみつぶしに探すには、私には移動手段が無い。
「……っ、うえ……えん」
この孤独は代償だろうか。
大切にしてくれた人をないがしろにして、他の人に恋をしてしまった私の。
彼の言葉も待てずに自分の気持ちを優先してしまった私への
カミサマが与えた罰だろうか。