そう言って、浩介くんは私に笑いかける。


「……浩介くん」

「これからは友達でいてくれるか」

「……っ、うん。うん」


浩介くんの優しさに、涙がこぼれてくる。

暖かく胸に広がる感情は、それでも恋とは違う。
いい人だから好きになれるわけじゃない。
恋って本当につかみどころがない。


「匡深」


夏木くんが彼女に近寄る。怯えた様子の彼女は一歩一歩後ずさった。


「ちゃんと話ししよう」

「や、いやっ」


振り切るように走りだす彼女を、夏木くんが追いかける。
私と浩介くんはそんな二人の姿が小さくなるのをただ見つめていた。


「……追わないのか?」

「うん。……今はまだ、夏木くん、匡深さんの彼氏だもん」


悲しいけれどそれは事実で。二人の間をどうこうすることは私には出来ない。

自分自身を納得させようと、心の中で言い聞かせる。
だけどその決意をひるませるような一言が、浩介くんから飛び出した。


「行けよ」

「え?」


顔をあげると、浩介くんはまだ夏木くんの背中を見つめている。

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