ドメスティック・エマージェンシー
ふと引っかかることがあった。
つまり、今の口振りからすると今までの被害者は双子の友達ということになる。

ならば……

「有馬も、その彼と友達だった……?」

「さすがに察しがええな」

ニヤリと笑みを浮かべ、指を軽快に鳴らした。
だんだん読めてきた。
だからこの男は私に近づいてきたのだ。

もちろん、最初はそんなつもりは無かったのかもしれないが。

「私に、有馬から聞き出せってことよね?」

核心をつくとゼロは当然頷いた。
しかし私と有馬はもともと不仲だったのだ。
聞き出したとこで教えてくれるわけ……そこまで考え、頭に衝撃が貫いた。

それは不気味で、卑怯な行為。
だが、切実な思い。

息を飲み、彼を盗み見るとパソコンへ集中していた。

――最初から、そうなるように仕向けられていた?

彼の横顔に、ソッと問い掛けた。








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