ドメスティック・エマージェンシー
話をまとめると、ゼロことゆうまには彼女……かなさんがいた。

若くして身ごもってしまったかなさんを恥曝しだと両親は蔑み、ゴミのように扱った。
死んでからその事実を知ったゆうまは、復讐のために殺人をやっていると推測して間違いないだろう。

問題は、その両親がどうなったかだ。
それにこの男は……双子を探していると言っていた。
……いや、双子の正体は《ありま》で間違いないのだろうが、何故かなさんの両親じゃなく《ありま》を……

しかも、私はてっきり彼は自分の両親を憎んでいるのだと思っていた。
彼を捨てた両親を……

ため息をつく。
つまり、この問題は私が理解出来ない彼の心境なのだ。

「おい」

「……ん?」

下を向いていた首をそのままにして、ゼロを見ると「観光したかったんやっけ?」と今更な疑問を投げかけられた。

正直観光どころじゃない。
首を横に振る。

疲れていると案じてくれたのか、ゼロがチョコをくれた。






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