ドメスティック・エマージェンシー
「見つけたんだ、ついに!だから、俺は……」

頭を抱え込み、崩れるように壊れていくゆうま。
私は彼の肩を掴んだ。

「《双子》は死んだのよ。だから、あなたはやりたくもない殺人を犯していたのでしょう」

私が現実を突きつける。
いつも仮面で誤魔化していた素顔に、近付いて彼にとっての唾を吐き捨てる。

彼は声にならない言葉を発している。
必死に受け止めなければならない現実を、いまだ殺そうとしているのだろう。


彼の双子……それは、彼の子どもである《ありま》のことを指していたのだ。

親に捨てられた自分と、かなさんの両親に殺された《ありま》――

人殺しをすることで、彼の存在が確かだったことを思い知らせたかっのだろう。






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