フシダラナヒト【TABOO】
「説明難しいんで、百聞は一見に如かずってことで。小川さんに観てほしいんですよ。だから、是非!」


職場の人のプライベートに踏み込む趣味はない。上司や先輩でもないし断っても支障はない。だけどせっかくの後輩の晴れ舞台、一回くらいいいかなとも思う。


それに黒木もこんなに必死だし。

って、これがやり手の営業スキルなのかと笑ってしまった。



「是非!」

「いいよ、そんなに言うなら。でも面白くなかったら帰るからね」


愛想のいい黒木のことだ。どうせ他の人も誘ってるだろうし、職場メンバーで集まって最後まで聞くだろうけど。



「ありがとうございます! 良かった。小川さんが来てくれなかったら意味ないし、安心しました」

「どういう意味? 他の人は?」
< 39 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop