桜のジンクス 《TABOO》


演奏を終えた後、校舎の中を懐かしげに歩く私の足が最後に向いたのは桜の木。

近づくにつれ、鼓動が早鐘を打つ。

偶然?
桜の木の下に男が立っている。
懐かしい背中だった。

「あのあいあい傘、まだ残ってんだぜ。」
振り向き様に微笑む彼が言う。

「え?そんな事した?」
敢えてとぼけてみせた。

「何だよ、忘れちゃったのかよ。」

「ん?あ~、そう言えば…なんか約束したよね?」

「約束?……したかなぁ?」
と頭を掻いている。


――嘘…照れてるだけでしょ


見かねた私は黙って目を閉じてあげた。


そっと重なる彼の唇。


その瞬間、あの日の約束が色鮮やかに私を埋め尽くした。




《あいあい傘がある限り、二人はずっと恋人同士だ》




私には今、彼がいるのに…。



これ…ジンクス?…



どうしよう…



この唇を離したくない…




END
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:10

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

今度はあなたからプロポーズして

総文字数/83,823

恋愛(純愛)202ページ

表紙を見る
ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間

総文字数/131,729

恋愛(純愛)153ページ

表紙を見る
ワンだふる·ワールド12~ワンコの誓い~《TABOO》

総文字数/998

恋愛(キケン・ダーク)3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop