まほろば【現代編】
ぐるぐるぐるぐる頭の中で渦巻く言葉たちに翻弄されている私によほど呆れたのか、飛龍君は私の前に廻って足を止めると顔をグッと近づけてきた。

「ヒャッ」

そんな綺麗な顔近づけられたら……。

顔を逸らそうとする私の頬を両手でパンと挟まれる。

何を言われるのかと思ったら、頬から右手を離してデコピン体勢。

反射的にギュッと目をつぶった私の頭にふんわりと大きな手が乗せられる。

恐る恐る目を開けた私が見たのは、悪戯好きな少年の瞳。

「プッ、アハハハハハ。何て顔してんだよ」

飛龍君は私から手を離すと、またスタスタと何事もなかったかのように歩き出した。
< 12 / 702 >

この作品をシェア

pagetop