まほろば【現代編】
「うん。だって、リュウ君とずっと一緒にいられるんだもの」

何の衒いもなくそんなことを言いのける綾姉になんて返していいのかわからず困っていると、ちょうどタイミングよく電車が滑り込んできた。

「電車来たみたいだね。行こう」

「うん」

元気よく頷く綾姉は、俺の手を取るとはりきって電車に乗り込んだ。

まだ、朝早いせいか乗客は疎らだったが、それでも夏休みということもあっておそらくいつもよりかは人が多いように思える。

とりあえず、四人がけの席の窓際に向かい合わせになるように座った。

欠伸を連発する俺を哀れに思ったのか、綾姉は「寝てていいよ」と言ってくれた。

正直少しホッとした。

こういった形で綾姉と二人きりになるのは初めてなので、どう接していいのかわからない。

だから、その言葉をありがたく頂戴してしばしの睡眠タイムへと突入した。
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