まほろば【現代編】
どのくらい寝ていたのか気づくと綾姉と誰か年配の女性とが話している声が聞こえてきた。

まだ、完全に覚醒していない俺はその会話に聞くともなしに耳を傾ける。

「ほんっと、格好良い彼氏さんねー」

「うふふ。ありがとうございます」

「でも、お嬢さんも別嬪さんだから美男美女のベストカップルって感じねー」

「あら、私は別に……」

「なーに、言ってんのー。こんな綺麗なお嬢さん、おばさん会ったことないわよー」

「そんな……」

「それにしても、ほんっと、彼氏さん。格好良いわねー。これじゃ、モテモテで心配でしょー」

「えぇ。そうなんですよね」

「わかるわー」

何だか、起きにくい状況な気がする。

どうやらこのおばさん、俺と綾姉が恋人同士とでも思っているみたいだ。

綾姉も特に否定していない。
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