まほろば【現代編】
『ハルカ、頼むから本当に無茶はするなよ』

「あっ、うん。それは、大丈夫」

『――その言葉、忘れるなよ。俺も早く戻れるように努力するから。ハルカのことが心配だからな』

「……うん」

リュウの最後の言葉、反則だよ。

そこでその日のお互いの報告を終了して、通話を終わらせた。

耳元で囁かれるリュウの「おやすみ」という声が私は好き。

それが、今日はいつにもましてゾクッとするほど色気のある声に聞こえた。

暑さのせいではなく頬が火照っているのがわかる。

真人君と明日会うことを言えなかったことを後悔しつつも、リュウが私のことを心配してくれてると思うと嬉しくて、幸せな気分のまま眠りに落ちた。
< 154 / 702 >

この作品をシェア

pagetop