まほろば【現代編】
ハルカはまだ息が整わないのか、大きく深呼吸をすると「はぁー」と長い息を吐き出した。

背の高い人物が近づいてくる。

月影がこの人物の整った顔にもあたった。

背は高いがまだ少女と同じように幼さが残る顔立ち。

真っ黒な長めの髪が風に靡いてさらさらと流れる。

西洋のビスクドールのような滑らかな皮膚は、透き通るように白くまるでそこに血が通ってはいないかのように感じられた。

おそらく、それは少年の発する雰囲気がそう感じさせるのだろう。

「だって……」

やっと少女は発言できるまでに回復した。

「だって、しょうがないでしょ。マラソンは嫌いなの!」
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