まほろば【現代編】
それが今の俺にとっては助かっているとも言える。

ハルカは、ホムラが朱雀だということも真人が玄武だということもわかっていない。

今はまだ、それは知らせないほうがいいだろう。

それとも、知らせておいたほうがいいのだろうか? 

多少の迷いが生まれたところで、予想外の人物が意見を述べた。

「青龍は、だいぶ前に失われてるぞ」

みんなの視線が部屋の入り口辺りで突っ立っている真人へと注がれた。

「どういうことだ?」

「だから、そのまんまの意味だって。結構、飛龍は回りくどいんだな」

呆れたような顔の真人に少しむかついたが、それだけの言葉ですべて理解するほうが無理だというものだ。

それに、コイツの言うことを鵜呑みにするのも危険な気がしている。

慎重になりすぎるぐらいがちょうどいい。
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