まほろば【現代編】
そっと、木に手を触れてそれから頬を寄せてみた。

気のせいだとは思うけど、その大木から「おかえり」という優しい声が聞こえた気がした。

「ハルカ」

振り返ると、リュウとホムラが真剣な面持ちで私を見つめている。

下に視線を落とせば、二人の足元には大きな星型の模様が描かれていた。

「リュウ、その星マークは何?」

「あぁ、コレは五芒星だ」

「ごぼーせー?」

「まあ、一種の気休めみたいなものだ。とりあえず、ハルカもこの中に入れ」

「う、うん」

よくわからないけど、これから行うことに必要なのだろう。

線を踏まないようにその星形の中に入った私に、ホムラが勾玉を出すように促した。

「ハルカ。ハルカは、その勾玉をしっかりと握ってただアキの真名を強く念じて」

「……わかった」
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