まほろば【現代編】
「そうだ、忘れてた」
緊迫した雰囲気の中でリュウのいつもと変わらない声が聞こえたかと思うと、私めがけて小さなリュックほどの袋を投げつけてきた。
「うわっ、な、なにコレ?」
いきなり投げられたからあたふたとしながらも、どうにか落とさずにその袋をキャッチした。
「おそらく必要になるだろうから持っとけ。じゃあ、始めるぞ」
「うん」
「えっ、えっ、えっ」
袋の中身を確認する間もなく、二人はとっとと過去に向かう体制に入っていた。
ホムラは、静かに目を閉じ意識を集中させているみたいで、徐々にその身体から紅い陽炎が上り始めた。
リュウは、リュウで手を複雑な形で組んでブツブツとなにやら唱えている。
私も慌てて勾玉をギュッと握り締めると目を閉じてアキの真名を一生懸命念じ始めた。
(アカトキ……アカトキ……アカトキ!)
どのくらい念じていたのかはわからない。
目を瞑っていたから他の二人がどうだったのかもわからない。
ただひたすら、私はアキのことを思い浮かべてその真名を呼び続けた。
緊迫した雰囲気の中でリュウのいつもと変わらない声が聞こえたかと思うと、私めがけて小さなリュックほどの袋を投げつけてきた。
「うわっ、な、なにコレ?」
いきなり投げられたからあたふたとしながらも、どうにか落とさずにその袋をキャッチした。
「おそらく必要になるだろうから持っとけ。じゃあ、始めるぞ」
「うん」
「えっ、えっ、えっ」
袋の中身を確認する間もなく、二人はとっとと過去に向かう体制に入っていた。
ホムラは、静かに目を閉じ意識を集中させているみたいで、徐々にその身体から紅い陽炎が上り始めた。
リュウは、リュウで手を複雑な形で組んでブツブツとなにやら唱えている。
私も慌てて勾玉をギュッと握り締めると目を閉じてアキの真名を一生懸命念じ始めた。
(アカトキ……アカトキ……アカトキ!)
どのくらい念じていたのかはわからない。
目を瞑っていたから他の二人がどうだったのかもわからない。
ただひたすら、私はアキのことを思い浮かべてその真名を呼び続けた。