まほろば【現代編】

ii

それは、不思議な感覚だった。

身体の中から暖かい光のようなものが溢れてきて、そのまますっぽりと包まれるとふわりと浮かぶ感覚。

そのまま、吸い寄せられるように何かにグググっと引っ張られる。

そして、もう一度ふわりと浮かぶとパチンと何かがはじけた音がしてストンと足が地面を感じていた。

まだ光に包まれているため、周りを確認することは出来ないが、前にも感じたむせ返るほどの原始的な草と土の匂い。

それだけで、また来たんだという実感がわいた。

徐々に光が引いていく。胸の高鳴りを意識しつつ、ゆっくりと瞼を開いた。

そこは、小高い丘の上のようで見渡す限り一面、青々とした草で覆われている。

遠くのほうに高い木々が茂っている森のようなものが見えるが、ここからはかなり距離がありそうだ。

丘の下のほうを覗き込んでみれば、少し行ったところに小さな一軒の小屋のようなものが立っていた。
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