まほろば【現代編】
ホムラの笑顔に見送られつつ部屋を後にすると、そのまま母さんのところに向かった。

「母さん」

「あら? 飛龍、珍しいわねー」

母さんは、昼食の準備のため台所にいた。

普段、台所などに顔を出したことがないせいか、そんなに驚くことないだろうというくらい大げさに驚いて見せている。

「ちょっと、頼みがあるんだけど……」

俺は、母さんに三人分のマントを作ってくれるように頼んだ。

どういう感じがいいのか良くわからなかったが、事情を説明すると、とりあえずそれほど違和感がないように生成りの木綿で作ってくれることになった。

服装の心配は、とりあえずこれで解決でいいだろう。

後は、実際に時空を超えることに関して何か文献に載ってないか虱潰しに探すしかない。

それからの数日は、ホムラではないが部屋に篭りきりとなった。

そのホムラだが、どうやら昼間は確かに部屋の中でなにやらやっているようだったが、夜になるとどこかに出かけているふしがあった。
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