まほろば【現代編】
とりたてて、迷惑を掛けられることもないから見て見ぬ振りをしていたが、気になるといえば気になる。

そうこうするうちに、一週間はあっという間に過ぎてしまい、ハルカが家にやってきた。

結局のところそれらしい文献を見つけることが出来なかったが、ホムラの言を借りれば「ハルカがいるから大丈夫」なのだろう。

日も良かったので、そのままハルカを連れて以前にハルカが過去へと迷い込んだ場所へと向かった。

あの大木の下に気休めの五芒星を描く。

ハルカをその中に導いて全ての準備が整った。

ホムラがハルカに勾玉を握って、アキの真名を念じるように伝えると、自分はそのまま意識を集中し始めた。

俺も、精神集中に入る。

特に効果があるとは思えなかったが、それでも何もしないよりはいいだろうと「三種の祓」を唱える。

「トホカミエミタメ カンゴンシンソンリコンダケン ハライタマイキヨメデタマウ」

その場全体が、光に包まれたのがわかった。

次の瞬間には、ジェットコースターの急降下のときのような浮上感。

かと思えば、小型の船に乗ったときのような浮遊感。

色々な乗り物をごっちゃまぜで乗ったような、何ともいえない不快感が襲い掛かってくる。

しばらく耐えていたが、それも長くは持たず目の前が真っ暗になる感覚に陥った。
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