まほろば【現代編】

ii

結界張りなおしまでの三日間は、とにかく落ち着かなかった。

宿題はほぼ終わっていたし、かといって友達と遊びに行ったとしてもきっと上の空だと思うから、ただひたすら時が過ぎるのを家で静かに待った。

その日は、朝から雲ひとつない晴天だった。

気持ちのいいはずの空模様なのに、夏特有の湿度の高さからか、なんとも憂鬱な気分が私にまとわりついている。

リュウから、張りなおしは夜に行うことは聞いていたから、日が暮れ始めると更に落ち着かなくなってきた。

夕飯を早めに済ませると、私は自分の部屋に篭り電気を消して、リュウの家の方角にある窓を開けるとその側に立ってひたすら夜空を見つめていた。

どのぐらいそうしていたのかわからないが、ふいに夜空に光の柱が四本上がった。

紅・蒼・白・黒の四色に輝く光の柱は、徐々に大きくなると、ついには一つになり、四色が交わり夜空には不釣合いなほど眩い太い黄金色の光の柱へと変化した。

こんなに離れているのに、その圧倒的な光景に心を奪われ、しばし見惚れてしまう。

どうやら、結界の張りなおしは成功したみたい。
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