まほろば【現代編】
「ごめんね、二人とも。今の話、聞いちゃった」

別にホムラが謝ることではない。

俺の頭の中は、ハルカのことで占められていて、ただ虚ろな視線をホムラに向けるしかなかった。

「ねえ、それでさ紗綾」

「何?」

「その儀式っていつ行われるかとかってわかる?」

「えっ?えぇ。おそらく、今日を含めて五日後……」

「五日かー。ねえ、シロは後どのくらい持ちそう?」

ふと顔を入り口に向けたかと思うと、ホムラの視線の先には穏やかな笑顔を湛えたアオが立っていた。

「そうですね。それぐらいならまだ大丈夫でしょう。それに、もしもの時には私がどうにかします」

「そっか。じゃあ、とりあえず今日の泉探しを成功させて、とっととツクヨミを見つけるまでだね」

最後はこちらに確認するように視線を向けてきた。

ホムラはあくまで、泉を探すことを優先させろと言いたいらしい。

確かに、それが最善策だとはわかるが……。
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