まほろば【現代編】
思わず誰もいないのを承知で辺りを見回してしまう。

案の定、特に変わったところはなし。

「えーっと。いただき――」

(食べちゃダメだ!)

「誰!?」

やっぱり空耳ではなかったようだ。

はっきりと声が聞こえた。

だけど、やっぱりどこにも誰もいない。

でも、どこかで聞いたことがある声のような気もする。

何だか、頭の中に直接響くような感じがするからあまりはっきりとしないけど。

直接頭に……?

(遙ちゃん、聞こえてる?)

やっぱりそうだ。

頭の中に声が流れ込んできている。

そして、名前を呼ばれたことではっきりとそれが誰の声だかわかった。

「真人君!?」
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