まほろば【現代編】
しばらくすると、何か異質な音がしてきた。

ビュン、ビュンと突風が一瞬だけ吹きすさぶような音。

その音は、だんだんと近づいてきて、ついには空き地の入り口にリュウの姿と大きな犬のような狐のような不思議な生き物の姿を認めることができるようになった。

今まで何度か妖怪退治に連れ出されてはいたけど、実際に妖怪を目にするのは初めてだった。

たぶん、それは今までの妖怪がそれほど力の強い妖怪ではなくあっという間にリュウがどうにかしてしまっていたからだと思う。

そういえば、退治した妖怪ってどうしてるんだろう? 

そんな疑問を感じつつ、成り行きを見守っているとリュウとホムラが選手交代したようだった。

今、かまいたちと対峙しているのは小さくて白くてフワフワな鳥のような生き物。

それが普通の鳥とは違うと言えるのは、その長い尻尾の先の炎の揺らめき。

そういえば、ホムラはあの尻尾の先を触れるのを極端に嫌がっていた記憶がある。
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