まほろば【現代編】
刀身を撫でるように触ると、俺の言葉に呼応するように鈍い光を漏らし、その剣先から道を示すように細い光の線が一本の通路に向けて放たれた。

「ありがとな」

礼を述べて、剣をそのまま握り締めると剣が示した道を突き進んだ。

この場所は、まるで迷路のように入り組んでおり何度となく分かれ道に行き当たった。

そのたびに、剣の示す道を通ってきたが、それでもここについてからかなりの時間がたってしまった気がする。

気だけは焦るが、無闇矢鱈と進んでいけばそれはそれで大幅な時間のロスとなるだろう。

ここは、剣を信じてただひたすら進むしかなかった。

またそれからしばらく進んだところで、先程見かけた人々が忙しく立ち働いていた場所らしきところに出た。

しかし、あれだけいた人影が今はまったく見当たらない。

嫌な予感がする。

彼らは、確かに何かの儀式の準備をしていた。
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