まほろば【現代編】
これは、口にしてはいけない。

「お主、まだこの国の食べ物を口にしていないであろう?」

ドキンと胸が弾む。口の中が乾いてカラカラだ。

何か言わなくちゃと思うのに、思うように声が出てこない。

「な、んで……」

「だから、言っただろう。お主は隠し事ができない性格だと。最初から、わかっておったわ」

「そ、そんなぁー」

思わずその場にへたり込んでしまう。

今まで必死に隠してきてたつもりだったのに、まったく意味がなかったなんて。

そんな私の頭の上にフワリと何か冷たいものが乗せられた。

手で触ってみるとどうやらサークレットのようなものみたいだ。

額の真ん中に少し大きめのつるつるとした円形の飾りが来て、ひんやりと心地良い。

「これは、何?」
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