まほろば【現代編】
「紗綾さんって綺麗なお嬢さんねー。あなたも少しは見習いなさいよ」

何だか、ちょっと虚しい気分。

そうそう、その紗綾さんと言えば帰る間際にこっちが恐縮しちゃうぐらい謝られてしまった。

でも、紗綾さんの気持ちを思うと責める気持ちというものが湧き上がってこないんだよな……。

それにしても、紗綾さん、私がいなかったこの数日で随分雰囲気が変わった気がした。

今までは、何か張り詰めたものがあったけど、それが和らいでとても優しい雰囲気になっていた。

そして、何故だかツチグモ一族のイリネと何だかとっても仲が良さそうに見えた。

本人にそういうと、思いっきり拒否されたけど、どう考えてもイリネの前ではとっても素直になれているように見えた。

紗綾さんと言えば、近寄りがたい美人さんってイメージだったけど、それがとっても可愛らしい女の子って感じに変わってて見ているだけで微笑ましい。

何はともあれ、とにかく無事に帰ってこれたんだ。

自分の部屋のベッドに体を投げ出すと、やっとその実感がわいてきた。

まだ、全てが終わったわけじゃないけど、それでも全てがいい方向に向かっているそんな気がする。

とりあえず、今日は何も考えずに眠りたいな……。
< 688 / 702 >

この作品をシェア

pagetop