まほろば【現代編】
「リュウ君は忘れているみたいだけど、私にも紗和ちゃんや紗来ちゃんほどではないけど夢見の才能あるのよ。これでも中臣家の女ですもの」

「それって、もしかして夢で何か見たってこと?」

「うん」

微笑む綾姉は、少し俺のほうに近づいてきた。

相変わらず綾姉から視線が逸らせないまま、目の端でそのふっくらとした唇が動くのを見ていた。

「黒い光はこの地に、白い光は東の方向、青い光は残念ながらどこにも見当たらないわ」

「白い光が東?」

「ええ、そうなのよ」

俺の言わんとしていることがわかったのか、綾姉も少し眉間にしわを寄せた。

白が表すのは白虎。

つまりは、方角的には西を示さなくては理屈に合わない。

「でも、確かに東の方向を指していたのよ」

綾姉も納得がいかないかのようにそう呟いた。
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