まほろば【現代編】
仕方なく、俺も少し離れてその隣に座った。

それにしても、綾姉は猫みたいだ。

足音が全くしないから、気を張ってないといつ近くに来たのか気が付かないことが多い。

雰囲気もどこか高貴なペルシャ猫といった感じがする。

そんなことを、チラチラと綾姉の横顔を見ながら思っていると、その顔がこちらに向いて視線が交わった。

昔からそうだったが、その視線を一度絡ませてしまうと逸らすことができなくなってしまう。

その誰をも惹き込む漆黒の瞳からは、あまり感情が読み取れない。

「ねえ、リュウ君。困っていることがあるんじゃないの?」

徐に綾姉が口を開いた。

「困ってること?」

「うん」

今現在困っていることと言えば、四神についてだがそれがどうしたというのだろうか?
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