まほろば【現代編】
「だから、えーと……臨――」

ハルカの腕は縦に動く。

「はぁー」

俺のため息に申し訳なさそうな顔でハルカがこちらを見ている。

そんな顔をさせたいわけではないが、それでもどうしても気が急いてしまう。

なぜなら、夏休みになったらしばらく俺はこの地を離れなくてはいけなくなる。

ハルカも連れて行くことも考えたが、いつ帰ってこられるかもどこに行くのかもはっきりしないのに連れて行くこともできない。

おそらく、ハルカの親が許さないだろう。

それにしても、いつも妖を退治に行くときはどうしているのだろうか? 

妖が出現するのは毎晩というわけではない。

俺がその気配を察知してから、ハルカには携帯で連絡してこれまた無理やり呼び出していたが……。

「ハルカ」

「ん?」
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