まほろば【現代編】
そりゃ、そうだろう。まだ、話していないんだから。

「あー、まだ話してないんだ。ダメじゃないかー、早く話さなくちゃ」

俺たちの顔を交互に見ていたハルカが割って入ってきた。

「ねぇ、何の話?」

ハルカの疑問ももっともだ。

しかし、何事にもタイミングというものがある。

そのタイミングを見計らって話そうと思っていたが、そんなことはお構いなしにホムラが勝手にハルカに話し出した。

「もうすぐ、ハルカたち長いお休みに入るんでしょ?」

「えっ? うん、夏休みね」

「うん、そうその夏休み。でね、夏休み入ったらヒリュウとサアヤは二人で長いお出かけしちゃうから、その間ボクとハルカでお留守番してようね」

ハルカの顔がこわばっている。
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