まほろば【現代編】
そりゃ、ホムラの説明じゃいったい何のことか正確に把握できるはずがない。

補足しようと思っていた矢先、今度は来訪の意を告げるドアのノック音がした。

「どうぞ~」

また勝手にホムラが相手を招き入れる。

そして、全くもって最悪のタイミングで、綾姉が部屋に入ってきた。

綾姉は、チラリとハルカに視線を向けてからすぐにこちらを向いてにっこりと笑った。

「リュウ君、夏休みに入ってからの予定を決めようと思って」

そう言いながら、綾姉は俺の隣に座った。

いつもよりもだいぶ近い気がする。

ハルカに視線を移せば、なぜか泣きそうな顔が目に入った。

その後は、ホムラと綾姉が勝手に話を進めていき、俺の口を挟む余地がなかった。

ハルカはハルカで、途中から俯いてしまい話を聞いているのか聞いていないのか身動き一つしない。

いつの間にか話はまとまってしまい、そのままその場はお開きとなった。
< 91 / 702 >

この作品をシェア

pagetop