For 10 years
絢華ちゃんは、彼氏に俺のことを話してるんだ。



「ああ、初めて話してこんなこと言うのは失礼だと思うんだけど」


「何ですか?」


「協力してくれないか?」


「協力?」


「ん、絢華ちゃんの笑顔を取り戻すために」



彼……舜くんと俺の思いは同じだった。






それからは、絢華ちゃんと鉢合わせしないように、俺と舜くんが交代で保育園へ行って飾りを作った。


たまに舜くんと会うこともあった。


彼は、絢華ちゃんが涙を見せたあの日から、一度もアパートへ行っていないと言っていた。


絢華ちゃんにとって子供達は、優太くんの忘れ形見だ。


いつも子供達が一番なんだ。


それなのに、俺のせいで一番に考えられなかった。


絢華ちゃんは今、どんな気持ちで子供達と過ごしているんだろうか。


やっぱり、自分を責めているんだろうか。


早く……


それを取り除いてやりてぇ。
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