青空バスケ―3rd―
蓮はよっぽど疲れていたらしく、その後すぐに寝てしまった。
寝室に蓮を寝かせた俺達はリビングで静かに話し合っていた。
「あたし……蓮ちゃんの気持ち、何となく分かるよ」
「え?」
「……あたしも思ったことあるから。
高校時代に戻れたらいいなって……」
栞奈……。
「蓮ちゃんの言う通り、一番楽しかったもんね。
嫌なこととかもあったけど……でも、それ以上に楽しいこととか嬉しいことの方が大きかったから……」
「……そうだな」
「けど………」
栞奈は俺の方を見て優しく微笑んだ。
「やっぱり……今の方がいい。
高校生の頃にはできなかったこととか、いっぱいできるもん」
「飲み会とか?」
「うん。他にもいろいろ。
……昔より今の方が可能性が広がってる気がするから。
だから……あたしは今の方がいい」
……俺は栞奈の頭をそっと撫で、そのまま自分の肩へと引き寄せた。