青空バスケ―3rd―
「……飛田?」
「俺……本当に先輩達にはよくしてもらってたんです。
入部したての頃から可愛がってくれて……。
……だから、先輩達と一緒に行きたかったんです。
……インターハイに」
……飛田……。
「でも……ダメでした。
先輩達は笑いながら“来年は頑張れよ”って言ってくれたけど……本当は悔しかったはずなのに……泣きたかったはずなのに……」
……思い出す。
高二の予選決勝。
……俺達の前で一生懸命涙を堪えてくれた先輩達を。
「……だから俺、来年は先輩達の分まで頑張ろうと思って。
今度こそは大地と亜稀と……みんなと一緒に行きたいんです。
……今年は行けなかった、インターハイに」
飛田の目は真剣だった。
……飛田の気持ちが痛いほどよく分かった。
「それで一人で自主練か」
「はい。
あ……残ってちゃダメでしたか?」
「いや、最終下校時刻までは別に咎めないけど」
俺がそう言うと、飛田は安心したように笑った。