【TABOO】この恋は誰にも知られてはいけない
本に手を伸ばすその姿に私はみとれた。
何と言えばいいのだろう……
神々しく、でも懐かしい……
胸がドキドキする。
目が離せない。
私の視線を感じたのか、男がこちらを見た。
時が止まる
男の足が動く
一歩、二歩……
『こっちに来る』
私は慌てて目の前の本を手に取り、読んでいるふりをして男が通り過ぎるのを待った。
男の足音が私の背後で止まる
『どうしよう』
私の鼓動は激しくなる。
ふいに包まれるような感覚が私を覆った。
男の腕が私の頭上の本に触れている。
そして、ゆっくりゆっくりと本を取り出す。
“抱擁”という言葉が私の脳裏に浮かんだ。
ほんの数十秒の出来事
それなのに私は
“永遠の光”を感じた。