ブスも精一杯毎日を生きてるんです。
男はリビングに入ると、今度はジャケットを脱ごうと悪戦苦闘したあげく、やっとのことでジャケットを脱いだ。
脱いだジャケットをソファのうえに投げると、自分もその横に腰をおろし、ふうと息をつく。
だいぶ疲れてるみたいだ。
早く手当をしなきゃいけないのだが、そういえば肝心の救急箱がどこにあるかがわからない。
『…救急箱ってどこですか?』
「その棚の上から三番目」
それ、と男が指でさした方を見ると、確かにそこにはアンティーク調の棚。
歩み寄り、三番目の引き出しを引くと、中にちゃんと救急箱が入っていた。
急いで救急箱を持って男の隣に腰をおろすと、とりあえず救急箱の中身をチェック。
包帯に胃薬、解熱剤、塗り薬、それからテーピングなんてものもある。
無駄にバリエーション豊かだな…
まあこれだけあれば、私にも手当は出来るだろう。
そう思うと、ちょっとホッとした。
自分から申し出たものの、実はあまり自信がなかったのだ。
『右手見せてください。』