ありがとうと伝えたい

なんだろ…
この異様な雰囲気。

男子が
覗き込むように
私をみつめてる。

だいきが咳ばらいをし
いった。

「新しくマネージャーにきた、ささきかなみちゃんですっ!かなみ、あいさつ」

ポンと肩を叩かれた。



「あ、えっと…かなみです。よろしくお願いします」

「よろしくー!」

明るく返したのは

バスケ部部長
あきらだった。

「いやー、いなくてこまってたとこだったから嬉しいや!よろしく(o^-')b」

そういって
にんまり笑った。

「かなみ、ゆかにいろいろ教えてもらうんだよ?」

だいきは微笑んでいった。

私は
頷いたあと
だいきにいった。


「なんで、私をマネージャーに選んだの?私マネージャーらしくないよ?」


だいきは私を
みつめたあとまたもや笑った。

「俺が見込んだから。」


そういってだいきは
ぽんぽんとなでられた。

そしてボールを
手にとり走っていった。

さすが
キャプテン。
シュートはすぐに入り
汗がキラリと光る。

周りには
女子が集まってきた。

ぼーっとしていたら
ゆかちゃんが走ってきた。

「かなみさん、お仕事おしえます☆」

キラキラと輝る
笑顔を見せつけられた私は
マネージャーが
似合うのかと疑問に思う。


「ねぇねぇ、ゆかちゃん」

「はい?」

「なんで私をマネージャーに選んだのかわかる?」

私がいうと
一瞬顔が曇った気がした。しかし
またかわいらしい笑顔で
こう言った。


「だいきは人を見る目があるんです!だからかなみさんを選んだんですよ」


人を見る目…
たしかにあいつは
小さいときも
人をひいきしたりしなかった。


昔からおせっかいで
お世話が好きだった。


優しくて不器用で…


「ゆかちゃんは優しいところに惚れたの?」

急な質問に
ゆかちゃんは
顔を赤らめた。

「いきなりなにを聞くんですか…!照」

「いやー気になるじゃん?」


ゆかちゃんは
少し深呼吸をしてから
コホンと咳ばらいした。

「話すと長くなるんで…おわってからでいいですか?」


私が頷くと
ゆかちゃんは笑った。

そして私に
テキパキと指示を出した。


私は慣れない仕事を
必死でこなしていた。
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