ありがとうと伝えたい




あのあと
私は何をして
家へ帰ってきたか
わからない。


知らない間に
ジュースを持っていたくらい疲れていた。


突然の告白に
慣れないマネージャーに


家に帰ると
かなたは
私をみて
びっくりしていた。


「姉貴、大丈夫?」

私は
疲れた笑顔で
答えた。


「平気…寝るね。」


ベットに寝転び
私は考えた。


だいきの言葉が
離れない。

でも
私はだいきとは
つりあわない。

かわいくないし
むしろ…


私はふと気づいた。

ゆかちゃんは
大丈夫なのだろうか?


携帯をとりだし
メールしようとしたら
ちょうどよく
ゆかちゃんからメールが
きた。


『今、電話いいですか?』


怖かったが
逃げてはいけない。

私は
いいよと返事をした。


電話くるまで私は
考えた。



だいきのことを
どう思ってるか…。


電話がなった。

一瞬だけためらったが
勇気をだして
電話にでる。



「……もしもし?」


ゆかちゃんは
泣いていた。
けれど
私の声をきいた瞬間
深呼吸をした。

私はもうわかっていた。
質問される内容を。


「あの、だいきのことなのですけれど…」


「…うん」

「かなみさんは…好きですか?」


私は
しばらく間をおいた。

ゆかちゃんは
真剣に聞いているんだ。

私だって
真剣に……



「ゆかちゃん、私はね…好きじゃないよ」


「………」

「私とね、だいきは…小さいときにであったの。だいきは私を助けてくれた大切な存在だった。でもね、私はそのときのだいきが好きなんだ。無邪気でさ、優しいだいきが」



ゆかちゃんは
泣くのを少しやめた。

私はそれからまた言った。


「告白されたのは本当だよ?でもね、私…人を傷つけるやつ嫌いって言ったんだ」


ゆかちゃんは
しばらく黙っていた。
ゆかちゃんは
ふぅとため息をついた。


「あの、かなみさん、私前いいましたよね?かなみさんがうらやましいって」


そういえば
言われた。

泣きながら
うらやましいって。

「だいき…今、かなみさんが言ってたような無邪気な笑顔をしてたのをみて、私は敵わないと思いました…だいきはかなみさんのことが好きだって気づいたんです」



私は静かに聞いていた。
ゆかちゃんは
いいずらいことを
真剣にいってる。

だいきのことがすごく
好きで…。

あきらめきれなくて。

負けてる自分が嫌で。


でも次の言葉は信じられなかった。


「悔しいですけど…私は…だいきをかなみさんに譲りますっ!」


私はびっくりして
なにもいえなかった。

譲る…って?

「ゆかちゃん、なにいって…」


「もう気持ちは変わらない言われて…私よく考えたんです!だいきが幸せになれる人となら付き合っても許せるって…」


私は
断ろうと思った。

けれど
ゆかちゃんは
勇気をだして
言ったんだ。


それを思ったら
なにもいえなかった。


黙っていた私に
ゆかちゃんは
明るく言った。


「………絶対にだいきを幸せにしてあげて下さいね」


「ゆかちゃん………」



「じゃあ、また明日マネージャー頑張りましょ!おやすみなさい。」


私は携帯を
思わずみつめた。

なにが起こってるか
理解できなかった。
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