若き店主と囚われの薔薇
きつく手のひらを握りしめて、エルガを見つめる。
すると、彼は珍しく眉を寄せた。
そして、「何を勘違いしてるのか知らないが」と言った。
「俺は、お前の行動の基準じゃない。俺が何を言おうが、お前がどうするのかは、自由だ。お前は今、何にも縛られていない」
そう、エルガが淡々と言った、言葉に。
…私は、愕然とした。
縛られて、いない。
私は今、何にも。
今ここで生きようが、死のうが。
それは全て、私の自由。
…私が、決めること。
「……………」
急に、足元がおぼつかなくなった。
激しい不安に駆られて、倒れてしまいそうになる。
「ロジンカちゃん!」
テンが、必死に私を支えようとする。
彼は、その足でしっかりと立っていて。