いい子にして
この一年、彼を自分のものだと実感したことは一度もない。
大体何で陽助が私みたいな地味な女子に、興味を示したのか分からない。

きっと同じ部署にいながら、自分に近づこうとしない私を、落としてみたかっただけなのだろう。

そう思って落ち込むこともたびたびだ。

だって私は彼に惚れているのだから。

ぶつぶつと心の中で呟きながら、何杯目かのハイボールを頼んだ時、私の横に誰かが座った。

まるで滑り込むように。
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