今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
「…あれ?」
いつの間にか…時間が動き出したみたいに…周りから気配を感じてた。…今まで見てたのは…幻だったのかな…。私は…太郎の顔を見ていた…。その顔は…優しく笑っているみたいに…見えた。
「…ムカツク…。」
なんか…私は笑ってそんな事を言ってしまった。悲しいけど…なんとなく…、してやられた気がしたから…。…でも嫌な感じじゃない…。この笑顔も…嫌じゃない…。


「SAE…。」
僕の生き方は…間違っていたのかな…。
『…ムカツク…。』
答えなんてわからないけど…そう言って笑ったSAEを見て…間違いじゃないって信じていた。
(…SAE、ありがとう…。)
SAEと出逢ってなかったら…もっと楽に最後を迎えられたかもしれない。SAEと出逢ったから…あんな素直じゃない奴に出逢ったから…僕は今まで苦しんだ…。…でも、もし…この苦しみがなかったら…僕は今の幸せがなかっただろう…。
SAEの気持ち…本当は知ってた。SAEは…何も言ってくれなかったけど…最後に…教えてくれた。僕が…死ぬってわかってからの生きる意味…、人と人の繋がりが…僕に勇気をくれた。今…僕は光に包まれつつある…。多分…終わるんだ…。でも…思い残す事はもうない…。幸せを…かみしめていけるから…。
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