Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~



するとその彼は言いにくそうに、でもまるで湊くんのようにこう言った。



「……喉で歌ってる、ブレスの位置がバラバラ、



盛り上がるところと盛り上がらないところの差をもっとはっきりつけろって……」



あははと言ってあたしは苦笑いをした。



まだまだだな。湊くんがいなくなってから毎日必死に練習したけど



それでも一夜漬けに近いような感じだもんね。



そんなこと言うなら戻って来たらいいのに。



「でも、結愛の歌うラブソングを聞いてて初めて不快感は抱かなかった。



半音上げただけでこんなに変わることを知らなかったって……」



< 216 / 277 >

この作品をシェア

pagetop