龍は花を守りけり ~~
そんなある日。
1人の男性が店を訪ねてきたのです。





「こんばんは。小娘さん?」

不意に、後ろから声がして
驚いた私は、ビクッと
肩を少し揺らしてしまいました。

「えっと……。こんばんは。
 何かお探しですか?」

私はニッコリと笑い、
お客様の方へと振り返ります。

「いや?…ただたまたま、通り
 かかっただけだ。」

………あぁ。
そういうことですか?

「あ……。あの、冷やかしなら
 他所へ行って頂けますか?」

私がそう言うと
一瞬、驚いた顔をしたのに、
すぐにニッコリと笑ったのです。

「アッハハハッ!……面白いね?
 君の名前は?」

お客様は、私の肩に手を置きながら、
少し妖艶に笑ったのです。

「………人の名を聞くときは、
 まずは自分から!…と。常識を
 知らないのですか!?」

私は剥きになって、そう
怒鳴ってしまったのです。

すると………。

「アッハハハハッ!……君、
 気に入ったよ♪」

………なぜでしょう?
普通なら、お怒りになる場面では?

「俺は西藤 夜桜 -サイトウ ヨザクラ-。
 お前、俺の妻にならないか?」

お客様は私に手を差し述べ、
そう申し出たのです。

「嫌です。…私は誰にも嫁ぐ気など、
 更々、ありません!」

「って、即答ですかい!!?」

お客様は酷く驚いたようで、
大きい目を更に大きくしたのです。


「と、まぁ。俺のことはさておき。
 君のことを聞きたい。」

う¨ッ……!
お客…西藤さんが名を名乗ったことで
私が名を名乗ることは、
必然的になってしまったようです。

「……九尾 華です。」

「ほぉ~ぅ。華ちゃんか……。
 いいねぇ~?可愛い名前だ。」

西藤さんは、私の肩を
引き寄せました。

「気軽に触ったりしないで下さい!」

パシッ

私は西藤さんの手を払い
退けたのです。

「ひっどいなぁ~?」


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