龍は花を守りけり ~~
「……華。[華狐]って知ってるか?」

ピクッ

いきなり私の名前を出されたことに
少し反応してしまいました。

でも、西藤さんはそれに
気付かなかった様子です。

よかった……。

「[華狐]は約100年もの間、行方が
 わからないらしい。」

そうなんですか。
もう、そんなに立つのですか……。

魔女の魔法さえ解ければ、私も
ちゃんとした狐になれるのに……。

こんな化けもしてない
人間の姿なんて嫌いです。

「事故で亡くなったと言う説も
 あれば、人間に化けてどこか遠い
 町に行ったと言う説もある。」

「それが……。私と何か、関係が
 あるのですか?」

シラを切らなければ不味いことになり
兼ねないと私は悟ったのです。

「9本の尻尾に花を季節関係無く
 出せる不思議な力。」

ピクッ

[不思議な力]と言う単語に私は
反応してしまったのです。

あの力を使ったことに気付いて
いなければ宜しいのですが………。

「この鳳仙花。季節外れなのに、
 綺麗に咲いてるよね?」

そう言って西藤さんは、私があげた
鳳仙花を指でクルクル回す。

私は「しまった」と思いました。

「華。これ、どうしんだ?」

「えっと……。」

ジッと見られると本当に困ります…。
どうしましょう…?

「………。まぁ、いいよ。」

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